
あらすじ
<内容紹介> 花子さんは夢中になって友達と羽子をついていた。そのうちに、羽子板の裏の美しい姉さんの顔のほっぺが凹んでいるのを見つけた。 花子さんはわっと泣き出して、お家へ帰ってお母さんの膝へ泣きついた。泣きついた花子さんの背中を撫でながら、お母さんはやさしく声をかける。 花子さんはへこんだ羽子板の美しい姉さんが可哀想でならない。どうにか元に戻らないかと思い、枕元に置いてあった羽子板を見ると花子さんは驚いた。 なんと、美しい姉さんは羽子板を抜け出して、枕元に座って凹んだところを抑えて泣いていたのだ。 花子さんは思わず飛び起きて美しい姉さんに飛びついた。花子さんは泣きながら謝まったが、美しい姉さんはシクシク泣いているばかり。 すると、どこからともなく「それは花子さんが悪いのではない。私が悪いのです」という声が聞こえた。驚いた花子さんと美しい姉さんが顔を上げると、目の前に真っ黒い骸骨のようなミイラがいた。 ミイラは赤と青の美しい着物を引きずって、二人のそばへと近づいてきた。そして、白い歯を出してにっこり笑った。どうやら、ミイラが美しい姉さんの凹んだところを直してくれるそう。 そう言って、二人を抱き上げて赤と青の着物をパッと広げると、大空はるかへと舞い上がった。ミイラは自分の故郷へ二人を連れて行ったのだ。 <夢野久作(ゆめの・きゅうさく)> 日本の小説家、SF作家、探偵小説家、幻想文学作家。 1889年(明治22年)1月4日 - 1936年(昭和11年)3月11日。 他の筆名に海若藍平、香倶土三鳥など。現在では、夢久、夢Qなどと呼ばれることもある。福岡県福岡市出身。日本探偵小説三大奇書の一つに数えられる畢生の奇書『ドグラ・マグラ』をはじめ、怪奇色と幻想性の色濃い作風で名高い。またホラー的な作品もある。