
あらすじ
不貞をはたらいた嫁と主人にした作男の復讐。 ジャン・マデックは地主の下で働く作男であった。今日も大鎌を振るって麦を刈り、後ろから年老いた母親が腰をかがめて散らばった落穂を拾いあつめていたが、 母親はぶつぶつ嫁のことを言い出した。ジャンが問いただすと嫁が地主と不貞をはたらいているという。 そんなはずはないと思ったが、いろいろなことをを思いだしてみると、たしかにその気配はあった。 そしてジャンは昼食後に地主が嫁に用を言いつけ、後でリンゴの樹の下に来るように云ったのを見て二人の間柄を確信した。 午後からジャンは他の作男たちよりも数段の速さで麦を刈り進め、一人あっというまにリンゴの樹のそばまで近づいた。すると嫁と地主の声が聞こえてきた。 モーリス・ルヴェルはフランスの作家。「フランスのポー」と言われ、恐怖や悲哀を主題とした残酷物語の短編を多く残しています。 日本においても新青年等に翻訳紹介され、探偵小説の読者を熱狂させたほか、江戸川乱歩、夢野久作、小酒井不木などに絶賛されました。 乱歩は「淋しさ、悲しさ、怖さがルヴェルの短編の随所に漂っている」と言い、久作は「探偵小説で一番好きなのはルヴェルとポーだ」と言っています。 またラヴクラフトは自身のエッセイの中でルヴェルを絶賛し、アメリカと日本でのルヴェルの認知に多く貢献しました。 現在新たな翻訳が出版され、母国フランスや日本においてルヴェルの評価が再認識されています。