
あらすじ
内容紹介 山本周五郎は「文学には“純”も“不純”もなく、“大衆”も“少数”もない。ただ“よい小説”と“わるい小説”があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした作家で、時代小説を中心に沢山の作品を残しています。 その作風は今なお古臭さを感じさせず、繊細に描かれた人の心の機微や人情に、思わず笑わされたり、胸を打たれたりする魅力に溢れています。 <あらすじ> 庄司千蔵は、短気で喧嘩が大好きだった。その行動は傍若無人もいいところで、すぐに手を上げては方々に迷惑を掛けて回っていた。 伯父の駒田紋太夫はそんな千蔵のことを案じていた。癇癪持ちな自身も千蔵に散々な目に遭わされた身である。 ある日千蔵は、初めての城勤めを前に紋太夫から意見をされた。 「人間には堪忍袋というものがある」 それをぎゅっと締めて、相手の身になって考え、人を尊敬し、人の意見を重んじ、寛厚に付き合い、過ちを許し……紋太夫は事細かに言って聞かせ、念を押した。 それから千蔵はきっぱりと喧嘩をやめ、大きな堪忍袋を腹の中に抱え我慢するようになる。城勤めの中で知らされる現実の世知辛さと、人生の厳しさを思い知りながらも、千蔵は耐えに耐えた。しかし……。