
あらすじ
山本周五郎は「文学には“純”も“不純”もなく、“大衆”も“少数”もない。ただ“よい小説”と“わるい小説”があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした作家で、時代小説を中心に沢山の作品を残しています。 その作風は今なお古臭さを感じさせず、繊細に描かれた人の心の機微や人情に、思わず笑わされたり、胸を打たれたりする魅力に溢れています。 <あらすじ> 盗人である鬼鮫は、自分のことを「酷薄無残で、なさけ知らずで、いちどこうと思えば女であろうと童児であろうと、平気で打ち殺し、八つ裂きにすることのできる人間」だと豪語する。彼は民から搾取する貴族を自分と同じ盗人と呼び、貴族の財宝を狙う偸盗であるが、なぜか失敗ばかりしてしまう。ある日、鬼鮫は中将の末の娘である十五歳の品子を誘拐し、身の代金を要求する。品子は美貌と才に恵まれ、ゆくゆくは東宮のきさきに召されると噂だという。だが誘拐してきた品子は、とんでもないばくれんものだった……。 テンポが良く、舞台演劇を見ているかのような、コミカルでクスリと笑える物語で最後のオチまで楽しめる。