
あらすじ
内容紹介 山本周五郎は「文学には“純”も“不純”もなく、“大衆”も“少数”もない。ただ“よい小説”と“わるい小説”があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした作家で、時代小説を中心に沢山の作品を残しています。 その作風は今なお古臭さを感じさせず、繊細に描かれた人の心の機微や人情に、思わず笑わされたり、胸を打たれたりする魅力に溢れています。 <あらすじ> 魚屋の定次郎は女房のおはんと共につつましいながらも幸せに暮らしていた。 ある日のこと、おはんの元に定次郎の兄を名乗る男が訪れた。男は日本橋の通り三丁目の呉服屋越前屋の佐太郎という者で、定次郎に帰ってきて欲しいのだという。 実は、定次郎は芸者であったおはんと一緒になったことで勘当されていたが、おはんには自分が越前屋の一族であることも隠していた。 兄に今の住処が突き止められたことで、引っ越しをしようと言いだす定次郎だったが、真実を知ったおはんは猛反対するが、定次郎は聞き入れない。 だが、とうとう家を訪れた佐太郎と顔を合わせる羽目になった定次郎は、定次郎が家を出た後の母親のことを聞かされる。母親は一日たりとも泣かない日は無かった。定次郎が家を出てからというもの、放蕩も、過ぎた酒も辞めて真面目に働いていると聞いて、母親をはじめとして皆が定次郎の帰りを待っている……だが、それでも帰ればおはんと別れることになると、定次郎は首を縦に振らない。 それを見かねたおはんは、自分と別れて家に帰るよう言い出すが……。