
あらすじ
カメレオンと、自分に向き合う5日間の日記 『南島譚』に収録された中島敦の短編小説。 描かれる日常は、自身の教員時代の経験がベースとなっている。 ある時、突然生徒からカメレオンをもらった教員(主人公)は、 学校の設備が整うまで自宅でカメレオンを飼育することになる。 しかし寒さに弱いカメレオンは、日本の環境に適応できず弱っていってしまう。 そんな姿に、主人公は望まぬ自身の境遇と精神の衰弱を重ね、その状況から何とか脱却しようと試みる。 カメレオンを飼育する中で描写される主人公の心模様に、自分自身や生き方に対する思索を促される作品。 中島敦(なかじま・あつし) 昭和時代前期の小説家。1909年東京生れ。東大国文科卒。 祖父は漢学者中島撫山、伯父にも漢学者が多く、父は中学の漢文教師。 1933年横浜高等女学校の教師となり、かたわら作家を志して習作にはげんだ。 持病の喘息悪化のため、転地療養を兼ねて41年パラオの南洋庁に赴任する。 唐代の伝奇「人虎伝」を素材にした「山月記」が深田久弥の推挽で42年2月の「文学界」に掲載され文壇にデビュー。同年5月発表の《光と風と夢》も好評で以後創作に専念。 パラオ南洋庁書記の職を辞して作家生活に入ろうとしたが、同年12月持病の喘息のために夭折した。代表作に「李陵(りりょう)」「弟子」「光と風と夢」など。