
闇に蠢く
あらすじ
内容紹介 野崎三郎は風変わりな洋画家である。 彼は女性の体のあらゆる部分に容貌以上の美を見出すことが出来た。 だが、彼のこだわりは世間並み以上に、むしろ病的に発達してしまっており、絵のモデルとなる女たちとも、一線を超えるとすぐに関係を終えてしまうのが常だった。彼の眼鏡にかなうほどの美の持ち主に、出会わなかったからである。 そんな彼が出会った理想の恋人が踊り子のお蝶であった。 彼女に理想の美を見出した三郎は、彼女をモデルに絵筆を執ることも忘れて、ひたすら彼女の愛を得ることに努めた。 お蝶もまた、三郎の想いを受け入れて、その関係はかつてないほどに長く続いたのだ。お蝶が信濃の山中ではかない変死を遂げるまでは…… ある時三郎は、お蝶を連れて、二人で長野県S温泉の籾山ホテルに赴いた。 「どこか山の中でも入って、あんたとたった二人っきりで暮らしてみたくなった」 お蝶のその言葉を面白がって、三郎は旅行を計画したのである。だが、その旅先でお蝶は、三郎と隠れん坊遊びをしている最中に姿を消してしまうのだった……